「就職したい気持ちはあるけれど、なかなか行動できない」
「訓練をしなければいけないのは分かっているけれど、やる気が起きない」
「求人を探したり、応募書類を作ったりするのが面倒に感じてしまう」
就労支援の現場では、このような悩みを聞くことがあります。
最初にお伝えしたいのは、「やる気が起きない=怠けている」と単純に考える必要はないということです。
一方で、やる気が出るまで何もしない状態が続くと、就職に近づくことも難しくなります。
大切なのは、やる気を無理に出そうとすることではなく、やる気がないときに、どう行動するかを考えることです。
なぜ、やる気が起きないのでしょうか
「やる気がない」という言葉だけでは、本当の原因は分かりません。
- 疲れやすく、体力が残っていない
- 睡眠や生活リズムが乱れている
- 失敗することが怖い
- 何から始めればよいか分からない
- 課題が難しすぎる
- 就職すること自体に不安がある
- 自分に合った仕事が分からない
- 周囲に言われて取り組んでいるだけで、自分の目標になっていない
このように、やる気が起きない背景には、さまざまな理由があります。
そのため、「もっとやる気を出しましょう」と言われるだけでは、解決しないことも少なくありません。
自分がなぜ動けなくなっているのかを知ることも、大切な自己理解の一つです。
「やる気が出たらやる」から抜け出す
就職すると、毎日やる気に満ちた状態で仕事ができるわけではありません。
今日は仕事に行きたくない。この仕事は少し面倒だ。
このように感じる日は、誰にでもあります。
それでも多くの人は、決められた時間に出勤し、必要な仕事に取り組んでいます。
就職準備でも、次のような考え方が大切です。
「やる気が出る → 行動する」だけではなく、「少し行動する → やる気が後からついてくる」
やる気は、行動する前に必ず必要なものではありません。
少し行動したことで気持ちが切り替わり、そのまま作業を続けられることもあります。
最初の一歩を小さくしてみる
「今日は就職活動を頑張る」という目標では、やることが広すぎて、かえって動きにくくなることがあります。
そのようなときは、目標をできるだけ小さくしてみましょう。
- パソコンを開く
- 求人を1件だけ見る
- 応募書類を10分だけ作る
- 訓練に参加してみる
- 支援員に一つ質問する
- 今日やることを紙に書く
最初から長時間取り組む必要はありません。
一つできたら、「今日は一つ行動できた」と考えてください。
小さな行動を積み重ねることで、少しずつ行動することへの抵抗感が下がっていきます。
「できなかった」で終わらせない
自己理解という視点で特に大切なのは、できなかった理由を振り返ることです。
例えば、訓練に参加できなかったとします。
「今日はやる気がなかったので参加できませんでした」
これだけで終わらせるのではなく、なぜ参加できなかったのかを考えてみます。
- 前日に十分眠れなかった
- 訓練内容が難しく感じた
- 失敗することが怖かった
- 人と関わることに疲れていた
- 何となく先延ばしにしてしまった
- 体調や気分がいつもと違っていた
理由が分かれば、次の対策を考えられます。
できなかった自分を責めるよりも、「なぜできなかったのか」「次はどうするのか」を考えることが大切です。
就職で大切なのは「毎日やる気があること」ではありません
企業が求めているのは、毎日100%のやる気に満ちている人とは限りません。
むしろ大切なのは、調子が悪いときや気持ちが乗らないときにも、自分なりの対処方法を持っていることです。
私は気持ちが落ち込むと、行動を先延ばしにする傾向があります。
そのため、やることを小さく分け、一つずつ取り組むようにしています。
自分の特徴と対処方法を理解できれば、それは立派な自己理解です。
そして、この自己理解は、就職後に安定して働き続けるためにも役立ちます。
「障害があるから仕方がない」で終わらせない
障害の特性によって、行動することが難しい場合はあります。
必要な配慮を受けることも大切ですし、できないことを無理に求める必要もありません。
しかし、すべてを「障害があるから仕方がない」で終わらせてしまうと、自分自身の可能性を狭めてしまいます。
大切なのは、できない理由を責めることではなく、「今の自分にできる方法はないか」と考えることです。
まとめ|やる気を待つのではなく、小さく動いてみる
やる気が起きない自分を責め続けても、状況はなかなか変わりません。
しかし、やる気が出るまで待ち続けるだけでも、就職への準備は進みません。
- やる気が起きない原因を考える
- 最初の行動を小さくする
- できなかった理由を振り返る
- 自分に合った対処方法を見つける
求人を1件見るだけでも構いません。
10分だけ訓練するのでも構いません。
支援員に相談することでも構いません。
やる気が出るのを待つのではなく、今できる小さな行動を一つだけ始めてみる。
その小さな積み重ねが、自己理解を深め、就職へ向かう一歩になっていきます。

